下田の杜 里山フォーラムの学校教育支援

柏市の自然拠点として位置づけられている「下田の杜」は、その地形、自然環境、文化遺産、農耕文化など古くから日本に残る里山の風景がコンパクトに収められているところです。未来を担う次世代に「下田の杜」の自然環境、里山に残る農業の営みなどを伝えることにより、里山に対する理解を深め、里山の風景や環境の保全を将来担う人々が増えてくることを目指して、私たちは教育支援活動を行なっています。

この教育支援活動は、次の三つの視点を軸に置いています。

(1)自然に対する感性を育む力

(2)環境に関する考えや将来いかにあるべきかを考える力

(3)仲間と話し合いながら問題を解決していく力

私たちはこの三つの視点の育成を軸に、児童・生徒・学生のそれぞれの年代に合わせたプログラムの提案を行なっています。プログラムは、学習指導要領の改訂、学校側の要望、子どもの状況などを総合的に判断し、その都度発展的に改善し現在に至っています。

これらの活動を通してSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献していきたいと思います。

小学生のための支援活動

小学校1年生から6年生までの児童を対象に、学習指導要領を基にそれぞれの学年に応じたプログラムを展開しています。生活科、理科、社会科の各科目で学ぶ内容を「下田の杜」で体験できるように考えられています。

1、2年生は生活科で自然に対する感性を育みます。

3、4年生は下田の杜の動植物の観察を通して自然の豊かさ、複雑さを体感します。

5年生は「下田の杜の」の田圃で、田植え、稲刈り、脱穀などの米作りを体験します。「下田の杜」に残る昔の農機具(足踏み脱穀機、唐箕)などを使い、自分達で収穫したお米を食べます。また残った藁を使って藁ないを実践します。

6年生は「下田の杜」で環境保全のためのボランティア活動を体験します。

小学生のための教育支援活動は年間を通して行われ、短時間の活動でも複数回「下田の杜」に来ることで、季節による自然環境の変化を体感します。自然に対する豊かな感性が育っていきます。

田植え(5年生)
生活科虫探し(2年生)
観察会

中学生のための支援活動

中学校の総合学習の時間を活用して、「下田の杜」の全体像を体得できるプログラムを展開しています。

「下田の杜」を紹介する出前授業を実施して予め生徒の関心を深めた後、フォーラム会員の案内で「下田の杜」を歩き、谷津地形、落葉樹林、常緑樹林、果樹林、畑、田圃、湧水などの環境を学びます。その環境があることで多様な動植物などが生息できるという関係を見出します。

人間の営みにより里山という環境があり、そこに多様な生物が生息していること、それを守るためにどうしたらよいかを仲間とともに考えます。

< 総合学習の様子>

出前講座

大学生のための支援活動

大学の総合学習の授業を「下田の杜」で実践する里山体験プログラムとして展開しています。

自然の豊かさを感じる機会が少なく、自然を体験したことがない大学生が増えています。このような学生達が環境保全などの問題を自分自身の問題として捉えることができるように、里山での体験やそこで保全に関わっている人たちとの交流は重要であると考えます。
内容には、里山の環境、外来種の問題、在来種の保護、生物多様性、古民家などの文化遺産、里山の農業などを盛り込み、その理解を深めます。

里山フォーラムの会員との交流を通して里山保全活動の今後のあり方、環境教育への取り組みについて考察します。

< 里山講座の様子 >